
「発達障害にタブレット学習がいいって聞くけれど、どんなところがいいの?」
タブレットを用いた学習が学校現場でも導入されてきています。
文部科学省主導で児童生徒に1台のIPADが配られました。
特に自閉症などの発達障害にはタブレットが有効だよと言われているけれど、それってどうしてなのでしょう?
自閉症スペクトラムだと”将来は就職すること”や”進学すること”が難しいと思われてきました。
なぜなら、これまでの教育で行ってきた一斉学習の形態だとついていくのが難しいからです。


しかしタブレットPCで本人の特性にあった教育を提供することで、一斉学習では覚えることができなかったことを覚えることができるようになりました。
そのおかげで自閉症スペクトラムの子どもでも数学を効率的に学んだり、英語も学べるようになったりする子どもも出てきました。



これは正しい方向で努力・支援をすれば子どもの可能性は思っているよりも大きい方向に広がるということです。
ただ「がんばれ」と努力を強いたり、「うちの子は自閉ですから……」と諦めたりする必要はないのです。
子どもの特性に合わせた教育を行うことができれば、将来への可能性は大きく広がっていきます。
まずはタブレット学習が自閉症スペクトラムに効果的に教育できる理由を解説します。
タブレット学習とは
タブレット学習とは、タブレットPCを用いた学習形態です。
タブレットが教科書・問題集・ノート・答え合わせの全て役割を担い、子どもは映像やアニメーションを見て新しいことを学んだり復習したりします。
「専用のタブレットを使うタイプ」と「IPAD等の既に販売されているもの」を使う2種類のタイプがあります。
PCと違いモニターに直接触れることができるので、直感的な学習をしやすいというメリットがあります。
タブレット学習が自閉症スペクトラムに効果的な5つの理由は?
タブレット学習が自閉症スペクトラムに効果的な5つの理由は次の通りです。
- 視覚的な面白さで勉強に引き込む
- PCプログラムである良さが合う
- 表現形式の自由度がある
- 自分の学びのペースに合わせてすすめる
- 動機づけシステムが組み込まれている
これだけの説明だとわかりづらいので、まずは背景から説明します。
発達障害とは?
発達障害とは、生まれた時からの脳機能の発達がアンバランスさからくる障害です。
中には知的な障害を持つこともありますが、知的発達は正常のまま成人したという人も多くいます。
持っている特性により得意・苦手の差が大きく、社会生活や学校生活とマッチしないという難しさが生じます。
結果として周りの人からは「自分勝手」「だらしがない」「落ち着きがない」という目線で見られてしまうことがあり、当人達のしきづらさに繋がっていきます。
発達障害には次の主に3つの傾向があります。
注意欠如多動障害(ADHD)
ADHDとは
集中力が続かない、落ち着きがない、順番を待てないなどの特性により、日常生活や学校生活に困難を抱える子どもがいます。このような困難の中には、育て方やしつけによるものでも、子どもの努力が足りないわけでもなく、神経発達症群(発達障害)の一つであるADHD(注意欠如・多動症)が背景にあることもあります。
こちらの記事では「ADHDの子どもをどう理解するのか」をまとめました。
学習障害
学習障害とは
全般的な知的発達に遅れがないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。困難さを感じる特徴によってディスレクシア(読字障害)、ディスグラフィア(書字障害)、ディスカリキュリア(算数障害)と呼ばれることもあります。
自閉症スペクトラム障害とは?
自閉症スペクトラム障害は、かつて自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害と言われた障害が統合されてできた診断名です。
Autism Spectrum Disorderの頭文字をとってASDと略されます。
主な特徴として
- 言語を含めた社会的コミュニケーションや対人関係の苦手さ
- 限定された行動、興味、反復行動



また感覚も通常の人よりも過敏なことも環境に配慮することが必要です。
自閉症スペクトラム障害の特徴は?
自閉症スペクトラムのお子さんには実生活上、困難なことが起こってきます。
ASDの特徴は
- コミュニケーションの背景を察するのが苦手
- 視覚情報の方がわかりやすい
- ASDはこだわりが強い
という面があります。
コミュニケーションの背景を察するのが苦手
ASDの子どもには社会的なコミュニケーションの難しさがあります。
特に社会的に行われるコミュニケーションは、一定の内容は「みんながわかっていること」を前提に進めます。
文化や習慣など踏まえた上で、相手が何を言わんとするのか察していくでしょう。



コミュニケーションは
「当然、このことを〇〇だから察してね」
といった暗黙の了解があります。
ASDの子どもにとってはそのことを想像するのに難しさがあるのです。
しばしばASDの子どもが空気を読めない発言をして、集団から浮いてしまうというのはこのような特徴があるからなのです。
視覚情報の方がわかりやすい


また物事を理解する特性として、文字情報よりも写真イラスト等の視覚情報の方がわかりやすいことがあります。
わかりやすくいうと私たちが英字新聞を渡されて読んでと言われても全然わからないという感覚です。
しかし挿入されている写真や見出しの言葉を手がかりに「このことかな」となんとなく理解していきますよね。
ASDの子どもにとって、社会で行われているコミュニケーションが、それに当たります。
ASDはこだわりが強い
ASDはものごとのこだわりが強い
例えば私たち大人でもコレクターと称してグッズを集めることがあります。
理由はわからないけれど妙に惹かれてしまう気持ち。
ASDの子にはこれが至る所にあるのです。そしてそれが崩れたり・無くなるという感覚に我慢ができないのです。ちょっとした靴の並び方も気になります。
でもそれは周りから見ると「融通がないな〜」や、変わった人ね~と思われてしまうのです。
なぜ学校だと学びづらいの?
ASDでも学校が楽しいよという子どももいます。
ただ学校が集団での指導を前提としている以上、どうしてもその中で適応しづらいと感じる子どもが多くいるのも事実でしょう。
一斉授業に合わせるのはつらい


ASDの子にとっては一斉授業を中心とした教育形態は学びにくい傾向にあります。
教師が前に立って、教科内容の説明を聞き・話し合い・練習問題を解くというパターンでは、どうしても教師が想定している全体の子どもの学びの速さに合わせる必要が出てきます。
しかしASDの子どもでは「もののとらえ方」が異なるので、ついていくのを難しく感じるようになります。
個別の例でASDの子どもの難しさを説明します。
教科書は読みづらい
「まず教科書を読んでみよう」と先生が言ったとして、教科書を開くとASDの子どもからすると、そこは一面も文字。



私たちで言うと
英語の論文を渡されたような気分ですね。
そのうえ情報は音声言語として、耳や目から入るので子どもにとってはまったく身に入らないのです。
作文に書くのはつらい
ASDの子どもにとって、作文を書くというのはつらいのです。
まず何を書いたらいいのかわからない。
自由に書いていいよと言われるほどASDの子どもは困惑してしまうのです。
自閉症スペクトラム障害にタブレット学習が効果的な理由


ではASDの子どもは勉強をして、学力を高めることはないのか?
そのようなことは決してありません。
ASDの子どもの特徴を踏まえると、特にタブレットを使った学習が効果的になります。
学校現場でもICT機器が導入され、児童生徒に一台のクロームブックやIPADが配布されるようになりました。
これは文部科学省もIPADの教育効果を認めているからです。
特にASDの子どもにとってはその特性と学びの形が合っています。
ここからはその理由を解説します。
視覚的な面白さで勉強に引き込む
タブレット学習が効果的な理由は、視覚的な面白さで学習へ子どもを引き込むことができるからです。
タブレット学習ではアニメーションのキャラクターが説明し、関係図や動画などビジュアルを使って説明します。
ASDの認知特性は言語情報を処理するのに困難さがあるので通常のクラスでは学びについていくのが難しい面があります。


タブレット学習では解説にビジュアルを用いることで、理解することの難しさを解消しました。
また通常の授業では教師の言語指示を通じて、授業が進行します。教師の真剣な表情を読み取って、時に熱気を感じながら学ぶことが通例。
これがASDの子どもには苦手となります。その場の空気を読むことです。
周りのみんなが熱中しているのに「なんでみんな真剣なの??」とポカーンとしてきます。(教師としてはやりがいをくじかれる思いでしょう)
タブレット学習ではそのようなことはなく、自分の学びのペースで進んでいきます。
タブレット学習が成果を出しているというのにはそのような背景があります。
PCプログラム上での勉強が合う


タブレット学習が効果的な理由はプログラム上で学習が進むからです。
すなわち間違いがあっても即時反応で正しいのかどうかレスポンスします。
ASDの子どもは、待っている時間にも子どもなりの想像をします。
正しいものは正しい、間違っているものは間違っている、そこに授業態度といったものは全く評価されず、純粋にできたかできないかだけですのでASDの子どもには力を発揮しやすいのです。
表現形式の自由度がある


タブレット学習が効果的な理由は、タブレットの表現形式の自由度があり、子どもの実態にあった表示ができるからです。
ASDの子どもにとっては感覚過敏が合って、視覚情報でも多くの色があると見えづらくなることや集中しづらくなることがあります。
タブレット学習では色彩の調整やフォントの大きさ、背景の色等を設定によって変えて、子どもにもっとも合う形で表示することができます。
自分の学びのペースに合わせてすすめる
タブレット学習が効果的な理由は、自分の学びのペースに合わせてすすめることができるからです
タブレット学習では無学年方式を採用しているところが多いです。
無学年方式とは?
「無学年学習」とは、一般的な学校のように、学年という区切りで、一定期間に一定量の学習をする「学年制学習」と異なり、学年に関係なく、各個人の学習のレベルや進捗に合わせて進める学習スタイルの総称です。
はたらくママ+より
通常の授業ではクラスの子どもの理解に合ったペースで学びを合わせないといけませんでした。
しかし無学年方式になることで学びのペースを本人の理解や意欲に合わせることができるのです。
すなわち子どもにとって、わからなかったところやもう一度やりたいところに戻って、理解できるまで学習をすることができるのです。
これはまた逆もあり、先取り学習といって得意な分野については、意欲がありどんどん勉強したい!と思っているでしょう。
そのようなところは先に進めて、自分の得意をさらに得意にすることができます。
動機づけシステムが組み込まれている


タブレット学習が効果的な理由は、「動機づけシステムが組み込まれている」からです。
タブレット学習では勉強ができたらポイントゲットしてアバターと交換したり、また直接のプレゼントをゲットするというシステムを採用しているサービスもあります。
子どもにとっては、なぜ学ぶのかという気持ちを持たせるのに難しさがあります。このようなポイントは確かに外発的動機づけと言い、勉強への直接的な動機づけよりも弱い面はあります。
しかし外発的動機に出会っても繰り返し学んでいくことで、これが学びへの楽しさに変わることがあります。
そういう面で学習初期の学びへの意欲を高め流という面を考えると効果的なのです。
タブレット学習は無料体験をしてから申し込むことができます。
まずは試しに体験してみることをオススメします。
タブレット学習の注意点
タブレット学習には効果があるとは解説してきましたが、万全の教材ではありません。
注意する点として以下のポイントがあります。
学習を広げる
文章理解や計算能力の向上などタブレットで子どもの力を伸ばすことができます。
しかしこれらがタブレット内またはプログラムの中だけで成り立っていることを留意しましょう。
実際に紙ベースの問題でも同様のパフォーマンスが発揮できるのか?
時には一回紙面上でも同じだけの力を発揮できるのか、英語であれば実際の場面でも理解したり表現したりできるのか、学習が学力として広がっているのか確認することを意識しましょう。


タブレットに触る時間を決める


タブレット学習をやると同時に入っているアプリに気がとられることもあります。
みんな大好きYouTubeやゲーム、SNSと魔法の箱のようになんでも入っています。
勉強だからいくらでもタブレットに触っていていいとなると際限なくタブレットを見ているでしょう。
勉強とはいえ何時から何時までと使える時間を決めたり、週に使用した時間を記録しておけば「時間を管理する力」を身につけることができます。
単品アプリとサブスク・アプリ


タブレットのアプリの中でも単品のアプリで暗記を助けたり、字を覚えたりするものがあります。
一方でサプスクタイプで学習カリキュラムに沿って指導内容が用意されているものがあります。
単品アプリは無料のものもあります。注意すべきことに、単品アプリは一つのスキルを鍛えたらそれで終わりになってしまい学習の連続性に欠けてしまうことです。
その場合は教科書等を参考に次には何をインストールするのか調べる必要があります。
一方でサブスクリプ・タイプのものは文字通り月額の料金を払いながら行います。サービスによっては専属のコーチが付き、助言をしたり、進捗管理をしてくれたりします。
料金はかかりますが、学習効果を求めたいのであればサブスクリプタイプがオススメ。
発達障害のタブレット学習なら「すらら」が頭ひとつリード


特に「すらら」は発達障害の心理士が監修し、学力を伸ばせるよう個別化したのが特徴です。
上に挙げたサービスよりも3ヶ月内継続率が89%と高い数値が出ています。
お子さんがそれだけ集中して取り組めているということでしょう。


これまで通信教材を利用してきたことはありますか?
せっかくの通信教育ですが、子どもの興味を持続させることが難しかったという経験があるかと思います。
他のタブレット教材よりも優れているのは子ども一人に学習コーチがつき、進捗を見守ってくれるところです。
家庭学習を進めるにあたって一番の課題はいかに学習を習慣化させるかということ。
発達障害の場合は、特に飽きやすいという課題があります。そのような課題に対して、コーチは最適のサポートをしてくれます。
ただタブレット学習としては値段が月11000とやや高めめなのがネック。
おそらく個別コーチが入っているため、そのためのコストと考えられます。
\すららが発達障害の特性を考慮したサービスであるポイントをまとめました/
まとめ


自閉スペクトラムの子どもにとってタブレット学習が効果的な理由はこちらの通りです。
現在の流れだと無理にみんなや学校に合わせて学ぶことよりも本人の特性に応じてもっとも成果の出る方法で学ぶことが大切です。
効果的に学ぶことによって子どもの将来の可能性がまったく変わってくるのです。
それをサポートするのが親の力だと思います。
これらのサービスはいずれも無料体験がついているのでまずは試して子どもに合うのかどうかを見極めるのがおすすめです。