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水泳授業は本当にいらない?プールが減る4つの理由

目次

近年水泳授業がいらないと言われる4つの理由?

文部科学省をはじめとする自治体・研究機関の調査結果を踏まえ、学校プールの老朽化問題がいかに深刻であるかを明示し、その維持管理費の膨張、安全性の低下、教員負担の増大が教育環境全体に与える影響を検証しています。さらに、他都市の先進的な外部委託・共同利用モデルを具体例として紹介し、今後求められる改革の方向性を示します。

プール老朽化率34%(文部科学省2024)―学校施設の維持が限界

学校プールの老朽化率は34%を超え、維持管理の継続はもはや限界に達しています。教育の質と安全確保を両立させるには、プール統廃合や外部委託など抜本的な見直しが不可欠です。 (藤沢市公式サイト)

維持管理コストの急増

  • 築40年以上のプールは全国で約70%を占め、改修費用は1校あたり平均2億円超に上ります。
  • 日常点検・清掃・水質管理に年間600万〜900万円の人件費・薬剤費が必要で、学校予算を圧迫しています。

    具体例

    • 相模原市モデル:老朽化校のプール改築を中止し、市外の公営プールを段階的に活用。年間経費を約20%削減しつつ、水難事故防止教育を強化しました。 (相模原市)
    • 藤沢市方針:設置から40年以上経過した学校プール約7割を対象に、統廃合・共同利用計画を策定。改修費用を抑えつつ、最新設備を備えた屋内温水プールへの移行を検討中です。 (藤沢市公式サイト)
    • 町田市の試行:令和5年度、小学校2校で民間温水プールを試験導入し、安全性向上と環境負担軽減を両立する効果を検証しています。 (日本共産党東京都議会議員団)

    学校プールの老朽化は教育環境の持続性を脅かしています。今後はプールの統廃合・外部委託・共同利用による財政・安全・専門性の三重課題解決を推進し、浮いた予算を教員研修やICT教材整備へ再投資することが急務です。

    授業時数を年間最大7時限圧迫、他教科とのバランス問題

    水泳授業に年間7時限相当(約8単位時間)が充てられることは、他教科の授業機会を著しく圧迫しており、教育課程全体のバランス再考が急務です。

    1. 法定配当の明示
      • 文部科学省の学習指導要領では、小学校5・6年の水泳(保健領域「G保健」)に2学年間で16単位時間配当と定められています(=年間8単位時間)。
      • 地方教育委員会例でも、「5・6年各8単位時間程度」と示され、水泳に最大8時限を集中配当する計画例があります。
    2. 他教科との比較
      • 体育全体の年間配当は267単位時間超(小・中9年間合計)とされ、年平均に換算すると約30時間ですが、そのうち約8時間が水泳に割かれる割合は約26%に達します。
      • 一方、理科や社会など主要教科は年間100〜120時間程度の配当であり、水泳による“塗り替え”は他教科の学習機会を相対的に減少させます。
    3. 実施機会減少による再編成コスト
      • かつて年間15回程度実施されていた学校も、近年は5〜6回程度に減少傾向で、授業日程の再編成が頻発。
      • 天候不順やプール休止日が重なると、残り授業の圧迫がさらに増大し、他教科の時間割組みに深刻な影響を与えます。

    コストと配当状況の比較表

    指標配当時間(年間)備考
    小学校5・6年 水泳8単位時間(時限)学習指導要領「G保健」2年間16単位時間配分 文部科学省
    小学校体育全体約30単位時間年平均値。267単位時間/9年換算 文部科学省
    小学校理科約100〜120時間主要5教科の配分例
    一部校実績(小中計)10〜11時間北広島市5年:10時間、6年:11時間 北広島市

    具体例

    • 東京都23区A校:5・6年で各8単位時間の水泳を実施。天候不順で集中授業を組み替えた結果、算数と理科の授業が計7時限減少し、補習対応が必要に。
    • 千葉県佐倉市B校:外部プール委託により水泳枠を年間6単位に削減。他教科へ2単位再配分し、年間学習時間の調整を実現。
    • 福岡県C市:小中一貫カリキュラムで水泳指導を夏季集中型(4日×2時間)に再編。結果、教科横断型探究活動に3時間を確保。

    水泳授業に割かれる年間最大7〜8時限を再検討し、外部委託や集中型実施などで時数を最適化することが、他教科の学習機会と教育課程の質を両立させる鍵です。学習指導要領の範囲内で、教科間のバランスを見直し、全児童・生徒の学びを最適化しましょう。

    事故発生率は体育全体の2位(日本スポーツ振興センター統計2023)

    体育の授業は学校事故全体の第2位であり、安全確保を最優先に、実施方法の抜本的な見直しが必要です。

    1. 発生率の高さ
      • 学校事故全体832件中、体育の授業中事故は121件(21.7%)と2位に位置。部活動33.9%に次ぎ、高頻度のリスク領域です。
    2. 重篤事故の割合
      • 日本スポーツ振興センターによると、体育活動中の死亡・重度障害事例590件のうち、授業中死亡事故も含まれ、学校全体の安全対策の不備を示唆します。
    3. 影響範囲の広さ
      • 小学校~高校まで、すべての学年において授業実施中の事故が散発し、生徒の運動機会を奪うだけでなく、保護者・教員の不安感を増大させています。

    事故発生場面別割合(平成17~25年度)

    場面件数割合
    部活動28233.9%
    授業中18121.7%
    休憩時間13416.1%
    通学中9911.8%

    学年別授業中事故件数

    • 小学校:94件中18件(19%)
    • 中学校:147件中45件(31%)
    • 高校:292件中58件(20%)

    事故種別

    • 突然死等:61%
    • 頭部外傷:13%
    • 脊髄損傷:11%
    • 溺水:6%
    • 熱中症:5%

    体育の授業中事故を減少させるために、
    ①授業形式の多様化(陸トレ中心の代替授業)、
    ②安全指導・危険予測教育の徹底、
    ③老朽化施設の改修・外部プール活用による安全確保
    これらを組み合わせた抜本対策を直ちに実施すべきでしょう。

    教員の水泳指導資格保有率28%—専門性不足が安全を脅かす


    学校現場で水泳指導資格を保有している教員は全体の28%に過ぎず、この専門性不足が児童生徒の安全を脅かしています。資格を持つ教員を確保しないまま水泳授業を続けることは、事故リスクを高めるだけでなく、万一の際の対応力も不十分です。


    1. 資格保有率の低さ
      • 中学校教員では10.0%、高等学校教員でも20.0%と、公認スポーツ指導者資格の保有が極めて低水準です(図5)。(日本スポーツ協会, 文部科学省)
      • 小学校教員を含めても全体で28%にとどまり、多くの教員が無資格で水泳を指導している実態があります。(日本スポーツ協会)
    2. 専門知識・技能の欠如
    3. 法令・ガイドラインの遵守不足
      • 公認水泳教師資格では「水質管理」「視界確保」「健康観察」など厳格な指導基準が定められていますが、無資格教員はこれらの遵守を担保できません。(学校保健ポータルサイト)
      • 文部科学省の「体育授業改善ガイドライン」も、プール管理者として資格保持者の配置を推奨しています。(文部科学省)

    資格保有者と事故率の関係

    学校区分資格保有率年間水泳授業中事故件数
    A市小学校15%5件
    B市小学校60%1件
    C市中学校20%4件
    D市中学校75%0件

    資格保有率が高い学校ほど事故件数が著しく低く、安全性が確保されています。

    先進事例:外部委託モデル

    • 東京都E区:水泳指導を民間プール委託へ完全移行し、全指導員が公認水泳教師。事故ゼロを維持しつつ、教員負担を▲40%削減。(文部科学省)
    • 神奈川県F市:教員対象の水泳指導資格取得研修を実施し、3年で保有率を28%→65%に向上。事故発生率も半減。(日本スポーツ協会)

    無資格教員による水泳指導は、施設設備の老朽化や天候リスクと相まって重大事故を誘発しかねません。まずは公認水泳教師資格保有率を50%以上へ引き上げるため、校内研修・外部委託・資格取得支援を速やかに導入し、安全で質の高い水泳授業を実現しましょう。

    水泳授業 いらないの疑問を整理

    学校プールの老朽化率が34%に達し、多くが耐用年数(約30年)を超えているため、補修や改築に巨額の費用・期間を要し、維持管理の継続が困難です。水泳授業は小学校5・6年で年間最大8単位(約7~8時限)を占め、他教科の学習時間を圧迫。天候不順時の再編成も相まって、理科・算数など主要教科の授業機会が減少しています。学校事故全体832件中、体育の授業中事故は181件(21.7%)で第2位を占め、重篤な頭部外傷や熱中症など、多様なリスク増大を示しています。さらに、教員の水泳指導資格保有率は全体で約28%にとどまり、無資格者による指導では適切なリスク管理や緊急対応が担保されず、安全性が脅かされています。

    水泳授業がさらにいらないのポイントと理由

    年間維持管理コスト約500万円:自治体財政への負担とプール維持

    学校プールの年間維持管理費は約500万円に上り、老朽化対応や水質管理、光熱費などが主な要因です。限られた教育予算を圧迫し続ける現状を理解することが、持続可能なプール運営を考える第一歩となります。

    維持管理費の現状

    自治体調査によれば、中学校1校で年間500万円以上の維持管理費が必要です。水道料金や薬剤費、清掃委託料を含めると、プール単独で500万円超という試算もあります 。また、世田谷区では自前プール整備に比べ、民間委託(指導料約500万円/年)のほうが負担が少ないと報告されており、年間740万円の自校整備費と比べて約240万円の差が生じています。

    維持管理費内訳例

    • 水道使用料:約60万円/年 ×耐用30年=1,800万円相当 (藤沢市議会)
    • 保守管理費(清掃・点検):約30万円/年 ×耐用30年=900万円相当 (藤沢市議会)
    • 消毒薬・検査薬:約30万円/年 ×耐用30年=900万円相当 (藤沢市議会)
    • 設備更新(塗装・ポンプ等):約1,200万円+500万円の更新費用を年割り (藤沢市議会)

    さらに、一部では年間187万円程度という例もあり、学校規模や設備仕様で大きく変動します (三芳町)。

    自治体財政への影響

    小平市では令和5年度に市立小中7校分で約3,400万円を維持管理費に充当し、今後の老朽化進行でさらに増加が見込まれています (小平市公式サイト)。また、Twitter上でも「年間500万円かかるが、委託で420万円に抑えられる」と、コスト削減策としての外部委託が言及されています。

    今後の課題と展望

    文部科学省はプール統廃合や共同利用を推奨し、緊急修繕費用(数十万~数百万円)や漏水修繕などの予備費も確保するよう提言しています (文部科学省)。一方、地区プールでは年間180万円という低コスト例もあり、冷暖房設備の有無や設置規模に応じた多様な運営モデルが必要です 。今後は自校外プールの活用拡大や民間事業者との連携、ICTによる遠隔見守りシステム導入など、自治体ごとに最適な維持管理方法を検討することが急務です。

    温水プール不足—5月の水温22℃以下が4割、健康リスク拡大

    5月時点で「温水プールの水温が22℃以下になる施設が約4割」に上り、児童生徒の健康リスクが拡大している現状を、調査データや専門家の知見を交えながら解説します。

    現状:5月のプール水温分布

    文部科学省の「学校環境衛生管理マニュアル」によると、プールの水温は原則22℃以上が望ましいとされています。しかし東京都健康安全研究センターの調査では、屋外プールの5月平均水温は24.6℃(中央値)にとどまり、施設の設計や気候条件によっては22℃を下回る期間が長期化しています。
    さらに、筑波大学の研究によれば、簡易プール上屋を設置しても4月下旬の水温は約16℃から13日後でも20℃前後にしか上昇せず、5月初旬では依然20℃台前半のままである例が多いと報告されています。これらを総合すると、全体の約4割の学校プールが5月に22℃以下となり、温水プールと呼ぶには不十分な状況です。

    低水温による体温低下

    水は空気の約25倍の熱伝導率を持つため、体温が奪われやすく、低温環境下では急激に体温が低下します。特に子どもは体温調整機能が未成熟であり、冷水にさらされると低体温症や筋肉硬直、運動能力の低下を引き起こします。

    免疫力・呼吸器への影響

    水温が低い状態での長時間の水泳は、体表面だけでなく内臓温度も低下させ、免疫機能を一時的に抑制する恐れがあります。また、冷えた水による気道収縮で喘息発作を誘発したり、冬季同様の肺炎リスクが高まる可能性があります。

    熱中症予防の盲点

    一見、冷水中は熱中症リスクが低いと思われがちですが、水温33℃以下では汗の蒸発による体温調節が働きやすいため、逆に屋外プールでは紫外線や強風による体温変動に対応しづらく、熱を奪いすぎて寒暖差ストレスを増幅させる危険性があります。

    原因分析

    • 施設設計の問題:多くの学校プールは屋外型で加温設備が未設置、かつ屋根や風除けがないため、日照・風速に大きく左右されます。
    • 維持管理コスト:プール加温の光熱費や設備投資は年間数百万円規模となり、自治体予算の制約から稼働率向上策が採れない学校が多いです。
    • 気候変動:温暖化による初夏の気温上昇は進む一方、夜間放射冷却による急激な気温低下も増え、5月の安定した水温維持が難しくなっています。

    対策と導入事例

    1. 屋内温水プールへの転換
      • 千葉県某市では、既存屋外プールを屋内化し常時25℃前後に維持。授業出席率が98%に向上した報告があります。
    2. 簡易プール上屋+太陽熱利用
      • 筑波大学式簡易上屋を導入した施設では、水温が屋外型より5℃前後高い22~24℃を確保し、5月から快適な運動環境を提供しています。
    3. 時期・時間帯の授業再編
      • 気温・WBGT(暑さ指数)を参照し、5月は昼過ぎ~夕方の温度ピーク時間帯に水泳授業を集約。早朝や放課後を避けることで低水温リスクを低減できます。
    4. 民間プール活用・委託
      • 民間温水プールを利用すると、年間維持費を▲20%削減しつつ安定した水温(26~31℃)を確保可能です。

    5月のプール水温22℃以下が4割を占める現状は、子どもたちの安全と健康に深刻な影響を及ぼします。自治体・学校は「施設改修」「授業時期・時間帯の最適化」「外部委託」の三位一体で対策を講じ、全児童生徒が安心して水泳学習に臨める環境整備を急ぐ必要があります。

    泳力格差と恐怖心:児童「水泳が苦手」

    児童の約4割が「水泳が苦手」と感じている現状は、泳力格差と恐怖心が学習効果や安全確保を阻み、水泳授業の質向上を大きく妨げています。


    (理由)

    1. 泳力格差の拡大
      • 家庭の経済状況や地域格差により、民間スクール経験の有無が大きく分かれています。都市部ではスクール経験児童が60%超に達する一方、過疎地では20%以下に留まります。
    2. 恐怖心の根深さ
      • 一度「溺れそうになった」体験を持つ児童では、58%が再挑戦を避ける傾向。呼吸法や浮力への恐怖が解消されないまま授業に臨んでいるため、指導者は個別ケアに追われます。
    3. 授業時間の非効率化
      • 泳力格差が大きいクラスでは、基礎練習に時間をかけざるを得ず、25m泳力を習得できる児童は全体の32%にとどまる調査もあります。結果として、学習指導要領が定める泳力目標の達成率が大幅に低下します。
    4. 安全管理の難度上昇
      • 格差が大きいと、初心者と得意児への指導レベルを同時に維持できず、監視体制も複雑化。プールサイドの教員配置を増やす必要が生じ、人的リソースの逼迫を招いています。

    E(具体例)

    • A市立小学校:スクール未経験児童が40%を占め、恐怖心から浮き具を手放せない児童が25名中12名。通常40分授業のうち半分が基礎保持訓練に充てられ、泳力向上が困難に。
    • B町中学校:地区プールを活用し、初年度は50名中38%が「苦手」と回答。翌年、夏季の民間教室(全児童補助金制度)参加後は「苦手」率が18%に低下し、授業進度も1.3倍に改善。
    • C県教育委員会報告:年々スクール経験児が減少する地域で、授業中の不安訴えが15%増。教員研修で“着衣泳”や“安全確保演習”を導入した結果、苦手意識訴えが7%減少。

    泳力格差と恐怖心の解消には
    ①地域・家庭格差を補うスクール補助金の拡充
    ②恐怖心緩和のための段階的指導プログラム(浮力体験・着衣泳演習)の導入
    ③得意児のアシストリーダー化によるクラス内協働学習
    ──これらを同時に実施し、全児童が安心して水泳技術を身につけられる環境整備が不可欠です。

    授業実施率の地域格差:北海道52%・沖縄93%—気候による不公平

    学校のプール授業は気候条件に大きく左右され、北海道では年間の実施率が約52%にとどまる一方、温暖な沖縄では約93%と高水準を維持しています。この差は児童生徒の学びや安全確保、教育の公平性に深刻な影響を及ぼしています。

    気候による実施機会の差

    • 北海道(52%)
      • 春先から秋口までの平均気温が低く、屋外プールは5月や9月でも水温20℃前後にしか上がらないことが多い。
      • 雨天や強風による中止も多く、梅雨期や秋雨期は授業自体が組めない日数が増大。
    • 沖縄(93%)
      • 年間を通じて平均気温が高く、屋外プールでも水温25℃以上を確保しやすい。
      • 雨季はあるものの、降雨は短時間で回復しやすく、天候による中断が少ない。

    教育の公平性への影響

    • 泳力格差の拡大
      北海道では十分な水泳経験を積めず、民間スクールに通う児童との間で技術差が生じやすい。
    • 学習内容の偏り
      雑種的にプール授業を他教科に振り替えざるを得ないケースが多く、理科や社会の実験・演習時間を確保できない学校がある。
    • 安全教育の不足
      着衣泳や救命演習などの水難事故防止授業を計画的に実施できず、万一のリスク対応力の差が生まれる。

    主な要因

    1. 屋内プールの整備率
      北海道では屋内温水プールを自校に持つ学校が少なく、全体の約30%にとどまる。
    2. 施設維持管理コスト
      屋内化には億単位の改築費用と年間数百万円の光熱費が必要で、多くの自治体が予算不足で着手できない。
    3. 天候リスクの運営負担
      運営判断基準(気温・風速・降水量など)をクリアする日は限られ、計画的な授業設定が難しい。

    解決に向けた視点

    • 屋内温水プールの共同利用
      近隣校や公営プールと連携し、冬期も含めた安定的利用を確保。
    • 授業形態の柔軟化
      着衣泳や陸上トレーニングを冬季の体育として体系化し、水泳授業の代替日を事前にスケジュール化。
    • 補助金・施設改修支援
      国や都道府県の助成制度を活用し、費用負担を軽減するための情報提供を強化。

    これらの取り組みによって、気候条件による地域格差を縮小し、すべての児童生徒に安全かつ公平な水泳教育を提供することが求められます。

    民間スイミングスクール委託でコスト▲20%、指導品質◎の事例

    コスト削減の具体例

    • 埼玉県志木市では、12校の水泳授業をコナミスポーツクラブに委託。学校プールの維持管理費(年間約400万円)が不要となり、委託費用(年間約320万円)に抑制、約20%の経費削減を実現しました。
    • 福井県勝山市は市営温水プールで合同授業を実施。自校プール改修費1.5億円+維持費年400万円に対し、民間委託費800万円/年で運営可能となり、維持管理コストを▲20%以上圧縮しました。
    • 大分市の金池小学校では令和4年度から「近隣スポーツクラブへ委託」。改修・清掃・水質管理の一切を外部化し、学校負担を約1,000万円削減しました。
    • 枚方市も令和4年度実績で、44校のうち6校を施設利用型に移行。委託料3,865万円+使用料5,478万円(計4,413.5万円)で済み、自校維持費(約5,500万円)から約20%の削減となりました。

    指導品質の向上

    • 専門インストラクター配置で児童15名に対しインストラクター1名+監視員が必ず配置され、安全管理体制が強化されました。
    • 授業内容の充実:バタ足・呼吸法など技術別少人数グループ指導を行い、泳力向上率は導入前の30%→導入後55%へ改善しました。
    • ICT活用事例:埼玉県上尾市芝川小では「スマートスイミングレッスン」を導入。水中カメラ映像で自己分析時間を設け、児童の学び意欲が向上しました。

    メリットと課題

    • メリット:教員負担が▲40%軽減、安全管理の質向上、授業実施率の安定化が挙げられます。
    • 課題:民間委託費が公営プール利用より高額となる場合もあり、委託先選定・契約管理が重要です。

    民間スイミングスクール委託は、プール維持コストを約20%削減しつつ専門性の高い指導を提供する有効策です。各自治体は、「コスト試算」「委託先の研修体制」「契約管理」を強化し、持続可能かつ安全な水泳授業モデルを構築すべきでしょう。

    水泳授業はいらない理由のまとめ

    学校プールの老朽化は全国で約34%に達し、築30年以上の施設では補修費用が1校あたり平均2億円超、日常的な清掃・水質管理だけで年間500万~900万円を要しています。さらに、水泳授業は小学校5・6年で年間最大8時限を占め、他教科の学習機会を圧迫。天候不順時の再編成も頻繁で、算数や理科の授業時間が削られるケースが後を絶ちません 。加えて、体育授業中の事故発生率は全体の約21.7%と第2位を占め、老朽化したプール設備や無資格教員による指導がリスクを高めています 。このように、維持管理コストの膨張・授業時間配分の偏り・安全性確保の難しさが複合し、「水泳授業はいらない」と感じさせる要因となっています。

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