中学生になってもなかなか落ち着きがなく勉強に気が向かなくて……
勢いに乗って余計なことばっかり言ってしまってトラブルばかりおこりして……
片付けが全然できなくて、勉強にも集中しなくて……
このような特徴にお困りの方はいるでしょう。
これらは決してお子さんが「なまけ」とか「不真面目」だという問題ではありません。
このような特徴はADHD / 注意欠如多動症という発達障害の1つです。
「障害?」と聞くと、そのお子さんが勉強するのは難しいことなのですか、と思ってしまうかもれいません。
いいえ そのようなことは決してありません。
その子の特徴に合った方法で勉強を進めていくことで、力を大きく伸ばすことができます。
さらに言うとこれまでADHDと言われながら社会的に大成した人物は数多くいます。
この記事では
ADHDとはどのような特徴があるのか?
ADHDの子どもに合った学習方法とはどのようなものなのか?
をわかりやすく解説したいと思います。
参考サイト:発達障害について
ADHDとは?
ADHDとはAttention deficit /Hyperactivity disorderの略語です。
直訳すると注意欠如・多動障害と言われます。
その特徴は
注意欠如が強いタイプだと
- 提出物や学用品を忘れてしまう
- 消しゴムなどすぐに無くしてしまう
- 話しかけてもぼーとしているようにみえる
- 約束などを忘れてします
- すぐに気が散り、集中力が続かない
- 細かいことを見過ごしてしまう(ケアレスミスが多い)
- 勉強や遊びなどでも集中力が切れる
- 最後までやることが難しい
- やる順序を整理することが苦手
- 少しづつ積み上げることを嫌う
多動が強いタイプだと
- 常に体の一部(手足)を動かしている
- 授業中に席を離れる
- つい話しだす
- 他人の話の途中で答えてしまう
- 並ぶ順番を待つのが苦手
- 他者のやっている最中に横から入る
というような 特徴が見られます。
これらの特徴はどちらか1つが見られることもあれば、この両方の特徴が見られることもあります。
ADHDといっても一人ひとりによってその特徴は異なるので、その子の個性を見極めていく必要があるのですね。
参考サイト:発達障害ついて
ADHDの子どもにとって苦手なこと 〜なぜ問題をよく読まないの〜
このような特徴があるADHDの子どもですので学校生活や家庭学習をするとして、本人が努力しても苦手なことがあるのです。
以下のことが「勉強をする上で苦手とする」ことの例です。
- 自分の気持ちをコントロールすることが苦手
- ワーキングメモリーが少ない
- 長い時間集中して話を聞くこと
- 一つ一つのことを確実にこなし、積み重ねていくこと
自己コントロールが苦手
ADHDの子どもは自己コントロールが苦手です。
自己コントロールとは自分の思いに対して制御したり、ブレーキをかけたりすることです。
学習やテストで問題が出たときに一度思い込んだことを、ニュートラルな視点で捉え直すといったことを難しくします。
これは日常生活でも思い込みでことを進めてトラブルを起こしてしまうという例もあります。
ワーキングメモリーが少ない
ADHDの子どもはワーキングメモリーが少ない傾向にあります。
ワーキングメモリーとは一時的に覚えておいた記憶を脳に置いておきながら活動することです。
ADHDの子どもは文章が出た時に圧倒されてしまい、前に書かれていたことや、聞かれていることを整理しながら、文章を考えることが苦手です。
しかしこれも練習の仕方によって改善することができます。
長い時間集中して話を聞くこと
ADHDの子どもは長時間集中して話を聞くことが苦手です。
聞いていても途中で他のことが浮かんできたり、内容が全然入ってこなかったりします。
一つ一つのことを確実にこなし、積み重ねていくこと
ADHDの子どもは一つ一つのことを確実にこなして、積み重ねることが苦手です。
この辺りはASD(自閉症スペクトラム障害)と違って、物事を大雑把に捉える傾向があります。
結果として一つ一つの学習で抜け落ちる部分が出てきます。
その他にも以下のような特徴があります
- 同時に同じことを進めていくこと
- 計画的にものごとを進めていくこと
- 勉強に必要なものを忘れないで持ってくること
- 興味のない勉強にはまったく関心が向かないこと
ADHDの子が勉強を進めていく上でこれらのことは配慮していきたいです。
ADHDの子どもの育ってきた環境
これらの特徴のあるADHDの子にとって、幼稚園から今までずっと学校に行きづらかったのではないでしょうか?
例えば
「授業に集中できない」
「席を離れてしまう」
といったことは、周りの人が本来本人の能力以上の事を知らずのうちに求めたのかもしれません。
しかし学校の先生や友達からは
「君は変わった子どもだ」
「あなたは不真面目だ」
と言われ、心の中では傷ついていると思われます。
これらが長年蓄積していると子どもにとって「自分に自信を持つ」 と言う感情がずっと押さえつけられていることになります。
結果としてとても反抗的であったり逆に自己表現をいつも抑えたりしていると学習していると考えられます。
ADHDの強み
興味や関心が他のものへ移る特性は、新しいアイデアを生み出す原動力でもあります。
いわば創造的な力を大いに秘めています。
またこの特性は、芸術やスポーツの分野で高い能力を発揮します。
興味の幅が狭く、一つのものに集中する特性は、特定の分野で高い知識を身につける助けとなります。
その秀でた能力をもとに、推薦制度や特待生制度を利用して進学、就学する方が増えています。
小さいころには「じっとしていられない」「ルールが守れない」といった行動のもととなる多動性や衝動性は、大人になると行動的、革新的へとイメージが大きく変わります。
これまで誰も考えつかなかったアイデアを思いつき、その思いつきを実際の行動に移せる行動力は、起業家やアーティストに向いています。
ADHDの特性がビジネスに結びつくことも多いため、
企業が積極的にADHDの特性を持つ方を採用することが増えており、
ADHDの特性を持つ方が働きやすいように
時短勤務や在宅勤務ができる環境の整備も進んでいます。
多趣味であったり、一つのものに熱中したりする様子は、
「おもしろい人」「ユニークな人」ととらえられることが多く、
同じ趣味を持つ仲間と出会うきっかけや、
新たな世界を開くきっかけとなります。
ADHDの子どもの効果的な7つの勉強法は?
ADHD傾向の子どもに普通のやり方、
例えば、「問題集を解く」とか「単語を暗記する」といったやり方では
十分に力を伸ばせないかもしれません。
ここに挙げたADHDの特性を踏まえて、
ADHDの子どもへの効果的な7つの勉強法を以下のように紹介します。
- 1 短い時間の組み合わせで学習を設定する
- 2 休憩を適宜とる
- 3 気の散るものが見えない環境
- 4 はっきりとした学習計画を立てる
- 5 ケアレスミス対策をする
- 6 叱らずに、ポジティブな面をほめる
- 7 個別塾やオンライン学習を利用する
ADHD勉強法:短い時間の組み合わせで学習を設定する
ADHD 学習時間の組み合わせとして15分から30分単位で学習時間を組み合わせましょう。
そしてそれが終われば短い5分程度の休憩をとり、また新たな学習をセットします。
またADHDの子どもには、目で見た情報の方がわかりやすいと言う特徴があります。
タイムタイマーなどを活用し、時間の区切りを はっきりさせることが良いでしょう。
ADHDの子どもにとって長時間の勉強は決して得意ではありません。
家庭学習でも同じ教科を60分90分と集中し続けて行うことは相当しんどいことでしょう。
ADHD勉強法:休憩を適宜とる
ADHDの子どもには少し多めに休憩がある方が合っています。
ADHDの子にとって学校生活は、私たちが考えている以上に緊張感を持っておりまたストレスを感じている可能性があります。
学校が終わり、家に帰って「さぁ勉強を始めるぞ」といっても
想像以上に疲労が蓄積していることがありますね。
例えば食後の勉強に入るまでの休憩時間も少し長めに取っても良いのかもしれません。
体も心もゆったりと時間をとり、回復することで勉強にも集中できるのです。
ADHD勉強法:気の散るものが見えない環境
ADHDの子どもにとって、視覚的な刺激は気を散らす原因となります。
学習環境はできるかぎり物を少なくし、気が散らないようにしましょう。
スマホなども 電源を切るとか、親が預かる等の配慮をし集中力を切らせないように工夫することができます。
ADHD勉強法:はっきりとした学習計画を立てる
ADHDの子どもには具体的に何をやるのかが
はっきりとわかる学習計画を親やサポートする人と一緒に立てましょう。
彼らにとって曖昧な指示や内容を理解することが難しいのです。
例えば教科書を読んでみましょうと指示をしても
どこを読んでどう理解すればいいのか理解するのが難しい。
この場合〇〇ページから〇〇ページまで3回読みましょう、
といったはっきりとした行動を学習計画に盛り込みたいものです。
曖昧な指示や目的のはっきりしない学習計画を立ててしまうと、
子供にとってただ機械的にやればいいと思ってしまいます。
ADHDの学習をサポートする上で子供と一緒に具体的に何をやるのか
はっきりさせた学習計画を立てていきましょう。
ケアレスミス対策をする
ADHDの子どもの特性としてケアレスミスが出やすい面があります。
ケアレスミスをなくすためには以下の方法を心がけます。
「焦ってしまうことによるケアレスミス」対策: 焦ってテスをするとミスに繋がりやすくなります。まずは気持ちを落ち着かせます。
大きく深呼吸をすることで落ち着くことができます。そして「大丈夫だ。落ち着いて。」と自分自身への語り掛けます。
「不注意によるケアレスミス」対策: 自分が不注意なタイプであるということを意識し「見直す時間」を長めに設定して、見直しや検算を行うことを普段からやるように心がけましょう。
ADHD勉強法:叱らずに、ポジティブな面をほめる
ADHDの子どもにはできるだけその子の良い面を見つけ褒めていくことが良いのです。
さらにはその褒めるポイントも具体的に「何が良かったのか」ということを伝えましょう。
彼らにとってこれまでの育った間、社会的に不適切なことを”ついつい”してしまって叱られることがたくさんあったと思います。
ADHDの子どもの心には、どこか社会って信じられるのかな?
大人って信じられるのかな?という思いがついてしまってます。
例えば日々の学習でも「すごいね。1つ忘れていなかったね」などと小さなことから褒めていくと勉強するのって楽しいかもと前向きになるでしょう。
ADHD勉強法:個別塾やオンライン学習を利用する
ADHDの学習を効果的にするためにICTを用いたオンライン学習を使うのもあっているでしょう。
彼らの特徴として、落ち着いて文字を読んだり、先生の言うことを一方的に聞いたりすることが苦手という特徴があります。
常に手を動かしていたり、動画等の動いているものを見ていたりすることで学習が驚くほどはかどるのです。
ADHDの子どもの興味や関心を高めるような教材として、オンラインサービスを利用すると言うのも考えていきたいですね。
現在様々なオンライン教育サービスが展開されています。
それぞれの特徴を踏まえることでお子様の力を発揮させることができます。
こちらの記事にまとめていますので、よろしければ読んでください。
この記事で最先端のタブレット学習2選とし「すらら」と「スタサプ」を紹介します。
タブレット学習❶:すらら
発達障害の専門家がプログラムを監修したので、ADHDの子どもの特徴を踏まえた学習ができます。
サタサプが実力講師なのに対して、こちらはアニメーションのキャラクターが講師役を務めています。
ADHDの子どもにとって、学校の先生のような講義が苦手、という方ならすららの方がおすすめです。
無学年制なので、小学校高学年~高校生まで、全ての学年の教材を好きなだけ取り組めます。
それぞれの子どもの間違えを分析し、苦手なところを学び直すには最適な問題が自動で出題されるシステム。
苦手な単元は前の学年から、得意な単元は好きなだけ先取りをした学習ができます。
「すらら」の残念なところ
「すらら」の残念なところとして値段がやや高めのところです。
他社のオンラインサービスと比べると料金少し高いのが実際のところ。以下の表をご覧ください。
タブレット学習サービス | 料金(税込) |
---|---|
スタディサプリ | 月額2,178円 |
スタディサプリ(個別指導コース) | 月額10,780円 |
スマイルゼミ(例:中1コース) | 月額 7,480円 |
デキタス | 月額4,400円 |
すらら 中学5教科コース | 月額 10,978円 |
中学コース5教科で月10978円。 入会金7700円
月額で10000円を超えているのでタブレット学習ではやや格高と言えるでしょう。
PC・タブレット代は自己負担となります。
逆にいうと専用タブレットでないので、すると以外でも利用することができる分、合理的でもありますね。
なぜ値段が高いのか?
すららの値段が高い理由はなぜなのでしょうか?
すららには個人担当コーチがついていることに理由があるようです。
「一人に対して、コーチがつく」のでそこにはどうしてもコストがかかってしまうと考えられます。
上の表からだと、スタサプの個別指導コースも個別コーチがサポートしてくれますね。
よくスポーツではコーチの役割としてアスリートのモチベーションや練習方法、フィードバックをします。
これとすららコーチは同様の学習のサポートをコーチが行ってくれます。
すなわち勉強計画・弱点分析・モチベーションアップをコーチがサポートしてくれるのです。
この部分のコストをどう考えるかです。
思考力や論述力を問う問題には対応しきれていない
「すらら」は完全オンラインプログラムですので、子ども自身が「思考したり論述したり」する問題には向いていない特徴があります。
子どもなりに考えても、その解答をAIで評価するのに難しいという背景があります。
ただ知識やスキルを高めるプログラムは相当洗練されていますので、まずは知識やスキルを十分に高めるところから活用していくことが合っているでしょう。
すらら無料資料請求を行うことができます。
一度、公式資料を見てから、子どもとの相性が合うのか見てみるのがいいかもしれません。
すらら公式サイト(無料体験)はこちら↓
AI訴求 無学年制教材!対話型アニメーション、インターネット教材【すらら】WEB申込
タブレット学習❷:スタディサプリ
スタディサプリはスマホやPCから動画を見て学ぶオンライン塾の1つです。
ADHDの子どもにとって、教科書や参考書を読むことはそれほど得意としていないのですが、動画やパソコンのモニター画面への興味は高く維持していけます。
また動画の長さが約5分程度です。集中力に課題のある子供にとっても十分に見ることのできる長さです。動画を見終わった後には確認テストもあります。こちらの結果を参考に自分の苦手なところなどが分かり、定期テストの対策や重点を立てることができます。
学習を確認するコーチがいるので、わからない時は対応もすぐできる。
おすすめのポイントとして価格も良心的です。(月額1,980円)
また2週間無料でお試しができるので、 子どもとの相性を確認することができるのもポイント。
講義が5分間の授業形式となります。講師が黒板の前で講義を行うので、このような一方的なスタイルが苦手なお子さんもいるかもしれません。
この部分はいちど試してから様子を見るのがいいです。
確認テストはペーパーにします。書くことに苦手意識がある子どもには大変かもしれません。
思考力や論述力を問う問題には対応しきれていない。
実際に使ってみないと子どもに合うのかわからないのでは?と心配に思う方もいるでしょう。
こちらは2週間の無料トライアルがあるので、合わなければそこで解約してしまっても全くOKです。
このようにADHDの子どもにも最適なオンラインサービスが充実してきて嬉しく思います。
今後も格安でADHD向けのいいサービスがあればどんどん紹介していきます。
まとめ
集中することが難しい子どもにも、その子の特徴に合った勉強スタイルや学習習慣を身に付けることによって学力を大きく伸ばすことが可能なのです。
この記事では 次のようなことをまとめました。
ADHDの子どもの効果的な勉強法として次のことを紹介しました。
・短い時間の組み合わせで学習を設定する
・休憩を適宜とる
・気の散るものが見えない環境
・はっきりとした学習計画を立てる
・繰り返すことを意識する
・叱らずに、ポジティブな面をほめる
・個別塾やオンライン学習を利用する
どの子どもにもいい面を見つけ自信をつけられれば、学力はぐんと伸びていきます。
これらの勉強法を活かしてもらえれれば幸いです。
追伸
私たちの「フツー」の価値観を基準にあれやこれや見ていると注意することばかりになってしまいますね。
ただその「フツー」を見直すと全然違って見えてくるのです。
そういうところが広がるといいですね。